失業保険を賢く多くもらう手順や注意点
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失業保険を賢く利用する
会社の都合で陣整理をした時や、会社をリストラされた時、自分の都合で会社を辞めた時、失業保険をもらうという事を誰もが考えますが、失業保険は申し込みをすれば誰でももらえるというものではありません。
失業保険を受給するには一定の条件を満たしていることが必要です。失業保険の受給条件など、失業保険について詳しく紹介します。
失業保険とは
何らかの理由で会社を退職して転職活動を行う場合、退職した会社で雇用保険に加入していて、受給条件を満たせば、失業手当を受給することが出来ます。
失業保険は会社のリストラや倒産などの理由で働けなくなった場合だけでなく、自己都合で退職した場合でも、引き続き働く意思があり、転職活動を行う場合に一定期間の間失業手当を受給する事が出来るのが失業保険です。
失業保険の受給条件
失業保険を受給するには一定の条件を満たす必要があり、雇用保険に加入していたからといって必ずもらえるわけではなく、退職した理由に応じて受給条件が違ってきます。
会社の都合で退職した場合
懲戒解雇以外で解雇になった場合や会社の倒産、退職勧奨、雇用契約の打ち切りなど、自分の意志ではないのに失業状態になった場合は失業保険を受給する事が出来ます。
受給条件として、離職する前に被保険者として6か月以上経過している事が条件になります。
自分の都合で退職した場合
自分の都合で退職した場合は、理由によって受給条件が変わってきます。
正当な理由がある自己退職
たとえば、「転勤などで通勤が不可能になった」とか「家族の介護をするため」「病気のために就業困難になった」など、退職の理由が正当な理由であると認められた場合は、離職前の1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上あれば失業保険を受給する事が出来ます。
正当な理由がない自己退職
特に正当な理由がなく、自分の都合だけで退職した場合は、正当な理由がある場合と違って、離職日前の2年間に、被保険者期間が通算して12ヵ月以上ある事が受給条件になります。
その他
定年による退職や更新予定のない期限付きの雇用契約が満了した場合など、事前に合意している理由によって失業した場合は、「正当な理由がない場合」と同じになりますが、この場合は3ヵ月の給付制限はありません。
失業保険の受給条件は「働く意思と能力がある」ということが重要で、ハローワークにおいて「失業」というのは、「就職しようとする意思があり、いつでも就職できる能力を持っているのに職業に就けず、積極的に求職活動を行っていること」と定義付けられているので、働く意思がない人や病気やケガで療養中という方は、失業保険の受給は出来ません。
受給手続きに必要な書類
受給条件がクリアできれば、手続きに必要な書類を準備しなければなりません。
①離職票1と2
離職票は会社が作成しハローワークの受理印をもらった上で退職者に渡す書類で、離職票-1と離職票-2があります。
離職票の1には離職者の氏名や生年月日などの記載と、失業保険の振込先口座番号を記入する欄が設けられています。
離職票2については在職していた時の月額給与や退職理由などが記載されていて、失業保険の受給金額や日数を算出する基礎となる重要な書類です。
②マイナンバー
マイナンバーがわかる書類として、マイナンバーカードや通知カード、マイナンバー記載の住民票のいずれかが必要です。
ちなみに、マイナンバーカードがあれば、③の身分証明書は不要です。
③身分証明書
身分証明書でよく使われるのが運転免許証、そのほか運転経歴証明書や官公署が発行した写真付き証明書のいずれか1点が必要です。
④写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
正面上半身が写っている直近3ヶ月以内に撮影されたものが必要です。
⑤印鑑
印鑑はシャチハタ以外のものを準備しておく必要があります。
⑥預金通帳またはキャッシュカード
本人名義の預金通帳またはキャッシュカードを用意します。
ちなみに「ゆうちょ銀行」はOKですが、「ネットバンク」や「外資系の銀行」は不可なので注意が必要です。
失業保険を受給するまでの手順
退職後の初日の手続きから1~3週間後に「雇用保険受給説明会」が行われるので、必ず出席する必要があります。ここでは2時間程度の時間をかけて失業保険の仕組みが説明されます。
その時に求職活動計画書」が交付されるので、今後はこの計画書に沿った求職活動をしていきます。さらに失業保険の認定を受けるために必要な「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が配布されます。
「雇用保険受給説明会」の1~3週間後に第1回目の失業認定日を迎えますが、失業保険は一括で貰えるものではなく、4週間に1度は「就職活動をしているのに失業中である」ことをチェックするための書類申請と面談があります。
ここで失業中と認定されれば、約4~7日後に指定した口座に失業保険が振り込まれます。第2回、第3回、第4回と4週間ごとの失業認定日にハローワークへ行き、失業認定を受ける手続きを繰り返します。
失業保険の受給期間
「給付日数」は退職理由によって大きく変わってきます。
自己都合で退職した場合
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
---|---|---|---|---|---|
全年齢 | - | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合の場合
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年に以上20年未満 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 270日 | 240日 |
たとえば、41歳で15年勤務した人で、自己都合で退職の場合は120日、会社都合の場合は240日になります
ちなみに自己都合の退職の場合、給付を受けるまでに7日間の待機期間と3ヵ月の給付制限期間が設けられていますが、「正当な理由」がある場合はこの給付制限期間がなくなります。また、会社都合の場合も同様です。
失業保険いくらもらえる?
失業保険の申請が認定された場合の失業手当の受給額は、1日あたりの受給額「基本手当日額」と、給付される日数「給付日数」によって決まります。
「基本手当日額」の計算は
賃金日額(退職前6ヵ月の賃金合計÷180)×給付率(45~80%)で算出されます。
ちなみに、給付率は、賃金が高かった人は低く、賃金が低かった人は高く設定されていますし、上限額は年齢に応じて変わってきます。
年齢 | 日額上限額 |
---|---|
30歳未満 | 6,710円 |
30歳以上~45歳未満 | 7,455円 |
45歳以上~60歳未満 | 8,205円 |
60歳以上~65歳未満 | 7,042円 |
失業保険でいくらもらえるかはインターネット上に多くの「失業保険シミュレーション」があるので、それらのツールを使えば簡単に算出できます。
失業保険受給中のアルバイト
失業保険だけでは生活が苦しいからアルバイトをして収入を増やしたいと考える人も少なく在りません。「失業保険をもらいながらアルバイトをしてはいけない」という事を聞いたことがあると思いますが、失業保険をもらっているからと言ってアルバイトが出来ないという事はありません。
ただし、アルバイトが出来ない機関やアルバイトをしてもよい期間があります。
アルバイトをしてはいけない期間
7日間の待機期間中は、失業中であることを確認する期間なので、この間のアルバイトは不可です。
もしこの期間中にアルバイトをした場合は、待機期間が先送りになるだけの場合もありますが、この期間はやめておきましょう。
アルバイトをしてもよい期間
自己都合退職の場合、支給が開始されるまでの給付制限が3ヶ月あります。
待機期間や認定日などを含めると約4ヶ月間は収入がない状態になります。
給付制限中
給付制限中は、アルバイトも可能ですが、アルバイトの程度(頻度・時間)によって失業中ではないとみなされてしまい、失業保険が支給されなくなる事もあります。
では、どの程度なら可能かという事ですが、これに関しては、ハローワークの裁量による事が多いので、あらかじめハローワークで基準(例:週20時間以上だとダメなど)を聞いておき、その範囲内のアルバイトなら、アルバイトで給料をもらいつつ、失業保険も受け取ることができます。
失業保険の受給中
失業保険の受給中もアルバイトは可能です。ただし、これも一定の範囲を超えると就職したとみなされるので、決められた範囲内に収めることが必要です。
一定の範囲内とは、「月に14日未満、週20時間未満」が目安となっています。ただし、あくまで目安なので、具体的な運用は先ほども書いたようにハローワーク次第です。
受給中のアルバイトも前もって「どれくらいならバイトしてもよいか」と聞いておく必要があります。
アルバイトをした時、忘れてはならないのが、受給中にアルバイトした場合は、ハローワークへ必ず申告しておく事が重要で、申告せずにアルバイトをしている事が発覚した場合は、不正受給になってしまいます。
せっかくもらった失業保険を返さなければならない、なんてことにもなりかねないので、正直に申告をしておきましょう。
アルバイトをした分は先送りになる
失業保険受給中にアルバイトをすると、収入が発生するので、その日は給付対象とはなりません。ただ、もらえなくなるという事ではなく、先送りになるだけです。ですから、トータルでもらえる失業保険の額は変わりません。
例えば、10日間アルバイトした場合、次に受け取る失業保険の受給額が10日分減りますが、その分は、支給日数として残っているため、後から支給される事になります。ただし、受給期間中にもらい切らないと無駄になってしまうので注意が必要です。
まとめ
「失業保険はもらい切らなければ損」という事を聞くことがありますが、実際はそうではなく、失業保険の手続きをした後、すぐに就職が決まったとしても無駄にはなりません。
給付日数が3分の1以上残っていれば再就職手当を受けることができますし、就職予定日までに全体の3分の2以上残っていればその70%が最就職手当として受け取れます。3分の1以上残っていればその60%が支給されるので、失業保険の受給期間満了まで待つ必要はありません。